エアブラシ
エアブラシを使ったペインティングは、従来の筆やパレットナイフでは簡単に再現できない影や透明感、繊細な陰影表現などのイリュージョンを表現できます。
鮮やかに発色し、さらりと液状のリキテックスリキッドはエアブラシ技法に最適です。薄める必要がなく、いやなにおいも少なく、水で簡単に洗い流すことができます。ソフトタイプをお使いになりたい場合は、あらかじめリキテックス ペインティングメディウムで薄めて理想の硬さに整えてください。
支持体の準備
- 準備はエアブラシ法を使う支持体の種類と求める耐久性によります。絵具の吸収性が支持体によって異なるため、わからない場合は必ずテストしてください。
- 布を使用する場合は、エアブラシを施す前に洗い、のりを落とします。
- 吸収性のない支持体(プラスチック、金属、ブロックなど)の場合は、スプレーする前に研磨すると定着力が高まります。
カラーを薄めたい時
- 適切な粘度の定義は空気圧、エアブラシの種類、作業面との近さによって変わります。軽いクリームくらいかそれよりも柔らかくしたい時もあるでしょう。
- リキテックス リキッドは薄める必要はありませんが、ソフトタイプをお使いになる場合は、ペインティングメディウムで薄めることをお勧めします。乾燥を遅らせる特殊な添加剤が含まれているため、絵具の柔軟性、耐久性、定着力を失うことなく、流れを良くし、目詰まりを防ぐことができます。
- ソフトタイプをお使いになる場合は、エアブラシをなめらかに通過できるよう薄めた絵具を裏ごししてください。
アドバイス
- エアブラシには忍耐力が肝要です。トーンを徐々に重ねていくことによって、絵具の鮮やかさが増し、均一に整っていきます。
- スプレーする前に色を混ぜ合わせてしまうのではなく、光学的観点から混色します。例えば、ナフソール クリムソンをカドミウムフリー イエロー ライトの上にスプレーすると、この2色を先に混ぜ合わせるよりもオレンジの鮮やかさを際立たせることができます。
- スプレーした部分の暗さを判断するには、白のコピー用紙を隣に置いてみてください。対比によって暗さのレベルがより明確にわかります。
- エアブラシにかける空気圧を抑えると、しぶきが飛び散ったような表現になります。
- テキスタイルに使用する場合は、絵具が地に浸透しますので、裏面のゴーストイメージがそのまま定着します。3日間硬化させてから、洗うかドライクリーニングしてください。
- リキテックスのイリディッセントカラー(パールカラー)またはメタリックカラーには雲母片が含まれるため、一定してスプレーするためには太いエアブラシノズルと高い空気圧が必要になる場合があります。
- 絵具を水で薄めると透明感が増します。
- エアブラシの層を重ねていくと吸収性は低下します。
- 作業は必ず、換気の良い場所で行ってください。
- スプレーは遠くまで飛散するため、塗布したくない部分はマスキングで覆い、保護しておきましょう。
- 混合液の濃度が高い場合は、空気圧を高めるか、ペインティングメディウムを加えてください。絵具を薄めた場合は、空気圧を抑え、エアブラシを作業面に近づけると細かく描画できます。空気圧を高める場合は、エアブラシを作業面から遠ざけてください。
マスキングの方法
塗布したくない部分はマスキングで覆い、保護します。広い面積には、ステンシル、フリスケット、またはマスキングペーパーを使ってください。
ステンシル
- ステンシル板は切り抜きのある薄い素材です。
- 穴にスプレーするポジティブステンシルと、作業面にプレートを置いてその上からスプレーするネガティブステンシルの2通りに使用できます。
フリスケット/マスキングフルイド
- 覆った部分のスプレーし過ぎを防ぐために、片面に低粘着性接着剤をつけた薄いビニルフィルムです。
- 着彩が終わったら、その部分を完全に乾かしてからフリスケットを貼ってください。
- フリスケットを平らにならし、気泡を逃してください。
- フリスケットフィルムとキャンバスとの定着度を高めるには、目の細かい織地キャンバスを使用し、カバーする部分にリキテックス グロスポリマーメディウムを1~2回塗布してください。
- 鋭利なカッターナイフを使い、軽く圧をかけながらフリスケットを目的の形状に慎重に切り取り、不要なフリスケットを取り除いて、次の色を塗布してください。
- フリスケットまたはテープは、1日以上、作業面に貼ったままにしないでください。
マスキングテープ
- 直線にしたい時またはマスキング素材を貼る時は、製図用テープまたはマスキングテープをフリスケットと同じように使ってください。低接着性タックが付いているため、取り外した時に着彩部分にダメージを与えません。
キャンバスのデリケートなエアブラシ部分をマスキングで保護する
- スプレーした部分を完全に乾かします。
- 汚れのないやわらかなブラシを使うか、スプレーで塗布し、リキテックス グロスポリマーメディウムでその部分を慎重にコーティングし乾燥させます。
- 必要に応じて塗布面にエアブラシを重ねます。
- 必要に応じて、作業を繰り返してください。
エアブラシのお手入れ
作業中
- エアブラシは定期的にきれいな水でうがい洗浄をしてください。
- エアブラシニードルの先端やスプレーキャップの中に絵具がたまった場合は、定期的に取り除いてください。
- 時折ニードルを取り外し、徹底的な洗浄を行ってください。
- エアブラシは、使用していない間は水を張った容器に入れて(先端を水に浸して)保管してください。
- エアブラシ全体を水に浸けないでください。
仕上げ洗浄
- 水溶性絵具は乾く前はエアブラシから簡単に取り除けますが、アクリル絵具やメディウムはエアブラシ内で乾燥させないでください。
- エアブラシを水とブラシエイド、アンモニア系窓ガラス用洗剤またはエアブラシ専用クリーナーでうがい洗浄をしてください。
- 少量のクリーナーをエアブラシ内に残して15分ほどおくと、頑固な汚れを取り除きやすくなります。
- その後、きれいになるまでブラシを通して水を噴霧してください。
- エアブラシ外側の汚れは変性アルコールで落としてください。
- 頑固な汚れや乾燥した汚れは、ブラシエイドを入れたお皿にエアブラシのパーツを浸し、汚れが柔らかくなって取り除きやすくなるまで漬け置きしてください。
- プラスチックのワッシャー、密封材、持ち手はアルコールに浸さないでください。
健康への注意点
- スプレーする時は、NIOSH(米国立労働安全衛生研究所)が認めた有効な防塵マスクを着用してください。
- エアブラシの作業エリアは、給気用の通気口と廃棄用の換気扇を備えた、十分な換気ができる場所にしてください。
- 作業エリアは、エアブラシのスプレーしぶきの汚れを落とし、常にきれいな状態に保ってください。
- アトリエ内では飲食・喫煙は禁止です。
- 絵具のラベルを必ず読んでください。カドミウムまたはコバルト含有顔料はミスト(スプレー)状では有害であり、吸い込むとがんを発症する可能性があります。エアブラシ技法で使用することは避けてください。リキテックス カドミウムフリー(不使用)色またはカドミウムヒュー色はミスト状でも有害性がなく、カドミウムまたはコバルト含有色の代わりに使用するのにお勧めです。
必要なもの
- 保護マスク
- リキテックス リキッド/ソフトタイプ―最適な絵具
- ペインティングメディウム―絵具を薄める時に
- ブラシエイド―エアブラシのお手入れ用